Marshall 6101再入院

さてさて、またまた1ヶ月ほどのブランクが空きましたが修理屋稼業は続きます。

申し訳ないくらい当製作所の常連と化しているK様のMarshall 6101です。
ライブ本番前にまさかの音量ダウン。
その場は他のアンプで凌いだそうですが、なんとも申し訳ない限り。今回は徹底的にメンテナンスをということで、くたびれた電源周りを交換しながら、原因を探ります。

引き取ったあと、アッテネーター咬ましてそれなりにマスターをあげた状態で数時間ならしても症状は再現されず。電源周りのパーツ交換。プリアンプ、フェイズインバーターのプレートの抵抗交換。そしてカソードのパスコン等もこの際だから交換します。

そして、行きつけの小田急相模原T☆ROCKSのバー営業日に持ち込み、店長とチープ・トリックの曲で遊びながら大音量チェック。
すると、ものの30分もしないで、音量ダウン。
色々と状況調査すると音量が下がるのはクリーンの1CHとクランチの2CHのみ。ハイゲインの3CHはラウドに鳴るじゃないですか。

回路図から信号経路を追うと、INPUTから並列にCH1初段とCH2/CH3兼用の初段となっていて、そのあと独立した各チャンネルの増幅セクション。
CH1/CH2をM5201という信号切り替えのできるオペアンプICで切り替え、その信号と3CHをこれまたM5201で切り替えるという、ちっと複雑なチャンネル切り替えを経て、エフェクトループ。そしてパワーアンプに向かいます。
CH3は爆音で鳴るのでパワーアンプはシロ。この構成だとCH1とCH2の信号が独立した初段もシロ。
そしてCH1/CH2で音量が下がるわけですから、これを切り替えるオペアンプM5201がどう考えてもクサイ。
わかりにくいでしょうから、下に簡単なブロックダイヤグラムを書いてみました。
Marshallの純正回路図は基板ごとにブロック分けされているので、なんとも解り辛いので、信号の流れをイメージするのは修理の第一歩です。

以前に修理したJCM900やVALVESTATEといった90年代Marshallのチャンネル切り替えでもこのM5201というICが使われているのですが、どうも不具合が多いようです。後年のJTM30/60やJCM2000ではチャンネル切り替えはリレー式になっているのは、この辺の故障率も関係しているかもしれません。

M5201ですが、日本製のICの癖に国内調達が難しいのでほぼ互換品であるNJM2120に交換します。IC類はソケット式なのでチョイチョイと交換できます。この辺は助かります。(壊れるのを想定したソケット式かも知れませんね。)

ICの電源周りをチェックして、又々大音量チェックをしてみましたが今度は大丈夫そうなので、無事納品となりました。

あんまり頻繁に壊れては困りますが、責任もって面倒見ますんで懲りずに愛用してくださいね。